E 投資の話



暗示のように
間接的に現実に反映される夢もあった。

勤務先で成績不振により降格し、
サラリーマンとして出世する見込みは無かろうと諦めた俺は
副業収入を確保するため、
小資本で始められるFXに取り組んだ。

あれこれネットで調べると
様々な投資スクール等が高額商品として販売されていた。

いくつか試してみたが、
なかなか実践出来ないという事を改めて思い知った。

優れた手法を学びマスター出来たとしても、
相場が大きく動きやすい時間帯は勤務中であり、
現実として取引出来ないのだ。


それならば
パソコンを使った自動売買プログラムはどうだろう?

こちらも調べて取り組んでみた。

一時的に増えたと喜んだりもしたが、
やがては損失が増えてしまい、
結果資金が減るという事を繰り返してしまった。


何とか自分の生活リズムの中で
上手く取り組んでお金を増やす方法は無いものかと探したら、
たまたま見つけた自動売買プログラムの商品に
おもしろそうな(資金を増やせそうな)ものを見つけた。



・EUR/USDを自動売買プログラムを使って両建てで運用する

・レバレッジ888倍、
 ゼロカットシステム(追い証が発生しない)が有る
 海外FX会社の口座を使う

・初回運用資金は30万+プログラムの販売価格は30万
 =初期資金は60万以上

・運用して資金が倍になったら、
 初期投入資金30万を出金してリスクをゼロにする

・経済指標発表時は運用を休止するように設定できる

・過去2年分バックテストをして成績が良かった

 という商品だった。

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『何? 両建てだって?』

上手くいく予感がしてワクワクした

よし、今度こそやってやるぜぃ!と意気込み、
そのプログラムを購入した。



自宅のパソコンやインターネット回線が停止するリスクを嫌い、
レンタルサーバーを契約して運用を始めてみたら、
元手30万で毎月6〜8万くらい利益が出続け、
3ヶ月後に50万くらいに増えた。


種銭30万を抜けば毎月6〜8万増えるが、早く資金を増やしたい。

利益を出金せずに元本に加えて売買単位を増やしていけば、
毎月資金が10万以上増えていくんじゃね?

そのまま福利運用を続ければ毎月の収益は
どんどんデカくなっていくはずじゃね?



欲に目がくらんだ俺は皮算用して

『よし、これでついに脱サラできるぞ!
 投資家として人生再スターとしてやる!!』


と妄想が膨らんだ。


そんなある日、夢を見た。


視界の中であらゆるものを飲み込む洪水が
自分の目の前まで迫る、
というものだった。

そんな夢を2〜3回繰り返し見た。

とぉ〜っても嫌な予感がしたが
いや、待てよ
良い知らせの可能性がゼロという事でもないしな…
という考えも頭に浮かんだ。


ある日突然何かが津波のように
俺から全てを奪い去って行くのか?!

それとも、
大金運等ラッキーな出来事が怒濤の様に
俺に押し寄せて来るという事なのか?!


当時の俺が最も気にかけていた事は購入した
FXの自動売買プログラムだった。


いつも頭の片隅にあり、
本業の仕事で気分が落ち込んだ時などは

『俺にはFXの自動売買プログラムがある。
 こいつでいつの日か脱サラしてやる!』

と自分で自分を励ましながら乗り越えていたものだった。



しかし、やはり現実は甘くは無かった。

自動売買プログラムが損失を出し始めたのだ。


ナンピンでポジションを増やしていき
価格が戻ったところで含み損を一気に利益にするという
プログラムだったのだが、
EUR/USD市場が暴落を始めた。

ナンピンの含み損が損切りに合うという事が続けて起こったのだ。


両建てだから何とか持ち直してくれるだろうと
楽観視した事が災いし、
持ったポジションから価格が逆行したまま突き進み
損切りになってしまうという事を繰り返していた。


『市場の値動きがおかしいぞ、
 許容範囲を超えてるからプログラムを停止して
 値動きが回復するのを待とう』

そういう正常な判断が出来れば
資金の全損は免れていたはずだが、
やはりプロスペクト理論というやつに嵌ってしまった俺は、
早い時点で損切りしてしばらく取引を休もう
という決断が出来なかったのだ。


あれよあれよという間に資金が枯渇した俺は気付いた。

『あの夢は、津波が俺から全てを奪い取るという事だったのか・・・』





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