D 祖母が見た夢



実家がまだ古かった頃、
狭い裏庭には小さな排水用溜め池があった。

そこには台所や風呂場からの排水が
流れ込む構造になっていた。

(そしてそこは男性用のおしっこ用トイレとしても
 使うことがあった)


ある朝、子供の俺は目を覚まし
食卓を囲む家族に加わった。

すると
祖母が暗い表情で

『嫌な夢を見ちゃったよ。まだ震えが止まらないんだよぉ…』

と言いながら
前の晩に見た夢の内容を話し始めた。


祖母は四姉妹の二女だったが
夢の中で
四人が顔を揃える機会があったらしい。

しかし、どのような経緯かは判らないのだが、
祖母の姉にあたる人
(自分にとっては親戚のおばあさん)が
我が家の裏庭の溜め池に落ちてしまったそうだ。

残る三姉妹で慌てて救いだそうとしたが
どうすることもできず、
おばさんはそのまま溺れて亡くなってしまった。

三人とも激しく動揺し嘆き悲しんでいたが、
しばらくすると
溺死したおばさんが幽霊になって溜め池から浮き上がってきた

真っ青な表情の幽霊になったおばあさんは
辺りをぐるぐると回った後、
どこかへと飛んで行ってしまった

という内容だった。


祖母は俺たちに夢の内容を話しながらも
明らかに動揺し震えていた。

当時、そのおばあさんは
血圧を下げる薬を飲んでいたり、何かの持病があったそうだが
その夢の話しを聞かされた後、
数年で亡くなっている。

死因は病死か老衰か聞いていないが。



祖母が夢を見た時点では
普通に日常生活を送れてはいたものの、
年寄りで持病持ちだったという点で
既に余命は長くはなかっただろうと思う。


それでも、
自分の姉が死んで
しかも幽霊になる場面に出会す夢を見るなんて、
どんだけ災難だったんだろうって思った。






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