A 幼稚園児の頃の夢の話



俺の親父は既に亡くなっているが、
晩年に実家を建て直した。

オイルショックでの失業をきっかけに
酒乱になって暴れる親父を見た
子供の頃の俺は
『こんな大人には絶対にならない』と誓い、
軽蔑していた。

しかし親父は、
自分が亡くなったらローンがチャラになる
という契約で
年収300万円代だったにもかかわらず
家族の為に家を残した。

息子の俺が言うのも変だが
凄い事をやったと男だと思っている。


そして、
そんな親父を軽蔑していた俺はというと
家を建てた頃の親父と同じ年齢になった今でも
住宅を購入できる程の経済的な信用力は
持ち合わせてない。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


『夢の話』というのは、おやじが建て直す前の、
とても古い造りだった家屋に住んでいた頃の話だ。

古い家ではトイレが屋外にあった。

和式便所の小屋が母屋の横にあり、
男性のおしっこは庭の隅ですませていた。

子供の頃は学校の友達が
自宅に遊びに来たとき等に
友達自身の家と比べられる事を
子供でありながらコンプレックスに思っていた。

そういった環境で生活していた俺だったが、
幼稚園児の頃に不思議な怖い夢を
繰り返し見続けた。



夢の中で俺は、
夜中に尿意を感じて家の中から庭に出た。

古い家で敷地内に倉があったのだが、
その方向へ何気なく視線を向けると
赤い横並びの二つの点が光っている事に気が付いた。

何だろうと目を凝らすと、
いつの間にかその光は
自分から1メートル程の距離に近づいていて、
暗闇の中に突然ミイラ男の姿が浮かび上がった。

赤い二つの点は
ミイラ男の眼光だったと気づいた直後、
ミイラ男は自分に向かって襲いかかってきた! 

慌てて家の中に逃げ帰り、
布団に飛び込み
尿意も忘れて
ブルブル震えて恐怖におののく俺・・・ 

夢の記憶ははここまで。


幼くて記憶が定かではないが、
おそらく10回程度はこの夢を繰り返し見ている。





Copyright © ☆☆奇妙な夢の備忘録☆☆ All Rights Reserved.